令和2年度は以下4テーマについて研究を実施しました。
 このうち(1)(2)は「温暖化と岐阜のくらし」「安心な暮らしのヒントBOOK@ぎふvol.2」に掲載されています。
 なお、令和3年10月8日(金)に令和2年度の共同研究事業について記者説明会を実施しました。
 令和2年度共同研究成果についてより詳しく知りたい方は記者説明会の動画(質疑除く)を岐阜大学地域環境変動適応研究センターYouTubeチャンネルにて公開しておりますのでご覧ください。
岐阜県×岐阜大学令和2年度共同研究事業記者説明会 YouTube動画<外部リンク>


(1)温暖化に伴うカキの影響評価と転換品目を含めた栽培適地マップの作成

 気候変動がもたらす気温上昇等により、カキ果実の着色不良が顕在化してきています。このため、文科省SI-CAT成果である全国1km統計DSデータを用いて、カキの栽培適地のポテンシャルマップを作成するとともに、さらに、カキからの転換品目として想定される亜熱帯果樹について今後の予想適地マップを作成しました。


(2)森林・中山間農業における雪害・風害リスクの将来予測

 近年、気温上昇に代表されるような気候変動の影響が顕在化してきており、最新の研究では、今後の温暖化に伴い、岐阜県北部を含む中部山間地域の豪雪頻度やその強度が増加する可能性が指摘されてます。また、冬季の気温上昇は、雪害をもたらす重く湿った雪の発生頻度を増加させる可能性があります。したがって、今後の気候変動に伴い、森林冠雪害やビニールハウス倒壊を引き起こす雪害リスクがどの程度増加・減少するのかを評価することが、岐阜県における林業、農業の将来にとって重要となります。そこで本研究では、雪害リスクの将来変化を文科省SI-CAT成果である全国1km統計DSデータを用いて評価しました。さらに、ビニールハウスに対しては風の影響も大きいため、風害についても合わせて評価方法を検討しました。


(3)洪水・土砂災害の曝露人口年齢分布の経年変化と地域の防災戦略に関する研究

 気候変動の影響で、風水害の規模と頻度が大きくなっています。岐阜県の平野部は、洪水危険性が高く山間部は中小河川の氾濫や土砂災害危険度が高いため、風水害の危険性が高い地域です。また、浸水・土砂災害危険区域に居住する住民の安全確保戦略は、「適切な避難行動」であり、これを実現することが必要です。特に地方部、中山間地で少子高齢化、人口減少が進んでおり、避難行動要支援者の地域内割合が増加しています。近未来には自助・共助が成り立たなくなる地域が出てくることが想定されます。そこで、現状と将来推計人口データ、浸水・土砂災害危険区域データを用いて、年齢区分別浸水・土砂災害曝露人口から、自治会レベルで避難が必要な避難行動要支援者数および支援可能者数の推計を本研究では行いました。


(4)将来気候における岐阜県の台風や豪雨の温暖化影響評価

 温暖化の進行に伴って、台風の勢力や豪雨の頻度と強度は増大するものと懸念されます。温暖化の影響を物理的に考慮に入れた長期間気候モデル( d4PDF )や独自の高解像度気象モデルを用いることで、将来気候下における台風や豪雨が岐阜県に及ぼす影響について分析を行いました。また、これらを基礎データとして各種温暖化影響評価のための技術支援および人材育成を検討しました。